☆ビジネス心理学講師・酒井とし夫 624☆
【苦手な相手にお願いする】

アメリカ合衆国の政治家、外交官として名高いベンジャミン・フランクリン。そのベンジャミン・フランクリンにこんな逸話があります。

ある時、フランクリンは敵対していた政治家に手紙を書き、読みたかった希少本をあなたがお持ちだと聞いたので、数日だけ貸して欲しいと頼んだ。

政治家は本を貸した。フランクリンは約束の日に本を返して、心からお礼を伝えた。その後の出来事をフランクリンはこう記している。

「次に議会で会った時、彼はとても礼儀正しく私に話しかけてきた。私たちは親友になり、友情は彼が死ぬまで続いた。」
(参照:「カリスマは誰でもなれる」オリビア・F・カバン著)

フランクリンは政敵を味方に引き入れる際にこのように相手の依頼を聞くのではなく、相手にこちらの頼みごとを聞いてもらうというテクニックを良く使ったと言われています。これを「ベンジャミン・フランクリン効果」と言います。(そのまんまやん!)

この背景には心理学的でいうところの一貫性の原理が働いているものと思われます。政敵は自分の大切な本を貸した、という行動から、自分は相手のことを好きである、という一貫性を取ろうとするわけです。もし、自分の大切な本を貸したのに、自分は相手のことを嫌いである、という認識を持つと行動と認識の間にバランスがとれなくなるのです。

簡単に言うと
「私は大切な本を貸したのだから、きっと彼のことが好きに違いない。」
と自分で行動を正当化して、納得するということです。

私もこのテクニックを使います。たとえば筋トレ中に見るからにガタイの良い、ゴッツイ男の人がトレーニングをしているとします。たいていその人の半径3m以内には誰も近寄りません。

そこで、私は近寄っていき、よくこう言います。
「お~!すげー!!
胸の内側の筋肉に効くトレーニングを教えてもらえますか?」

するととても親切に教えてくれる人が多い。
そして、次に会った時にはもう
「ちわ~っす!!」
とお互いに挨拶するようになるのだ。
(実は講演会場でも使っている・・・それはまたの機会に。)

時と場所と相手にもよるが、もしあなたに関係性がうまくいっていない相手がいるならこの「ベンジャミン・フランクリン効果」が効くかもしれない。

つまり、相手に説教、アドバイス、指導をするよりも、あえて相手に協力を求め、意見や助言をもとめるのだ。するとあなたに協力して、意見や助言を提供した相手の心には一貫性の原理が生まれる。

高校時代の英文法の担任がよくこう言っていた。
「押してもだめなら引いてみな。都はるみの七変化。」

人付き合いも押すだけではダメのである。

 
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