降車するときに思わず心が口にでた。雪月花で体験した付加価値の本質とは?
恥ずかしい話だけれど
本当の意味で体験したかも・・・。
あなたは通常使っている840円の商品に
6,000円を払うだろうか?
いや、14,800円を払うだろうか?
「ありえね~!」
普通は通常料金の7倍も17倍も払わないですよね。
じゃあ、
どうやったら
7倍も
17倍も
払うだろうか?
しかも、“十分に満足”して。
私の住む地元の駅から上越妙高という駅まで
普通電車で行くと片道840円の電車代がかかる。
フツーの路線である。
地元の駅から上越妙高駅までの風景は
海が見える。
山が見える。
田んぼが見える。
今の時期だと雪が見える。
しかも、途中まではトンネルがやたらと多い。
なんの変哲もない
田舎の風景が延々と続くだけである。
フツーの路線である。
見飽きている風景と空間と時間だから、
普段出張でこの区間を電車で移動するときには
普段出張でこの区間を電車で移動するときには
ほとんど車内で本を読んでいる。
車窓の景色を眺めることはない。
見るもの、聞くもの、
面白くもなんともないから。
でも、違った・・・。
先日、いわゆるジョイフルトレインと呼ばれる観光電車・えちごトキめきリゾート雪月花に乗車しました。
前から地元を走っていることは知っていたけれど、特に電車好きでもないし興味はまったくありませんでした。
数ヶ月前に出張から戻ってきたら地元駅に停車中の鮮やかな朱塗りの電車が目に飛び込んできた。しばし、その色に見入ってしまった。それが雪月花。
「うわ~っ、きれいだなあ・・・。」
そして、すぐにカミサンに雪月花の予約をしてもらいました。
乗車して分かった。
車窓が大きいと景色がぜんぜん違うんだね。
というかきっと普段は見えていないんだね。
人はツールが違うと見えるものが違うんだね。
いつも同じフィルターを使っているときっと視野が狭まるんだ。
そして、その視野が狭まっていることにさえ気づかない。
電車の音はガタンゴトンガタンゴトン。
でも、違うんだね。
線路がカーブすると銅製のワイングラスが触れ合って車内でチリンチリンと音がするのが聴こえた。
人はツールが違うと聴こえる音が違うんだね。
電車の匂いって意識したことがなかったけれど
自然板のいい匂いがするんだね。
その香りが車内を通り過ぎるのが分かる。
人はツールが違うと感じるものも変わるんだ。
古臭い、ちゃっちい、さびれた駅だと思っていたけれど
こっちの駅は今は全国でも珍しい駅弁の立ち売りのおじさんがいるんだね。
次の駅では地元の人が、寒い中、ホームで、待っててくれる。
「寒い中、待っているのもたいへんだよね。」
「でも、せっかく来てくれたのに誰もいないんじゃ寂しいじゃない。
こうやっていろんな人と話するのも楽しいし。」
通過駅の駅長さんが手を振ってくれる。
沿線の人たちが子供と一緒に手を振っている。
そこに向かってアテンダントさんが車内から力いっぱい手を振りかえしている。
その姿に感動するのはなぜだろ。
ビックリした・・・。
延々と続く真っ暗なトンネルってこんなに美しいんだ。
ホテルの夜のラウンジみたい。
ネットでもすでに有名になっているけれど
車掌の樋浦さんのアナウンスは絶品。
車窓から見える風景と
間とタイミングとスピードと話の内容が抜群。
あちこちで乗客の笑い声が聞こえる。
アテンダントの人たちもいい意味でプロっぽくなく
仕事っぽくない。
乗客を温かく迎えようという気持ちが
「きれいな風景や電車は忘れるかもしれないけれど、
アテンダントと楽しく会話した思い出は記憶に残ります。
そんなきっかけや雰囲気作りができるようにするのも
自分の役目だと思っています。」
・・・と、樋浦車掌。
「魅力的」なものが
「魅力的」なのは当たり前だけど、
普段目にする耳にする身体で感じる
「普通のこと」が
「魅力的」になるんだね。
いや、そもそもある「魅力」を
「見出して引き出している」のかも。
私は本当の意味ではぜんぜん理解していなかったかもしれない。
これを【付加価値】っていうんだ。
普段、長いなあ、つまんないなあ、たいくつだなあ、と思っていた路線の時間が数秒で過ぎ去った。
雪月花を降車するとき
心が口にでた。
「ありがとう」
コメント
コメント一覧 (2)
地域活性化の盲てんともゆべき事例、本当に嬉しいですね。
青い鳥は地元にいるわけで・・・・・!!!
足らないのは人々の知恵ですね。
有難うございます。まなばせていただきました。感謝!
コメントをありがとうございます。普段見慣れている風景に付加価値を生み出して、それをビジネスとして形にして、みんなをハッピーにしているえちごトキめき鉄道さんに感激の一日でした!